Nine Lives

著:キョーカ

今日も失敗、未遂に終わる
自分自身の殺害計画
通りかかった猫様の
魂はあと三つだそうだ

「お前がゆくのは
たったひとつの人生だから」
猫様はそう僕へ語った

「大事大事な稀少な珠よ
明日とやらを吟味せよ
こんな未来は厭だろう」

僕が毎回死に損なうのは
魂の残機が増えていくバグに
やられて明日を繰り返すから

『断頭台ヲ回避セヨ』
伽藍堂の胸に死の文字はないと
最初から解っていたのか

何故か猫様は僕ではなく
自分自身を笑っていた
大事大事に過ごせない
『明日』とやらはいずれ死ぬ
どうせ積もった『今日』の死体と
僕と似たこと考えながら

六つの魂何故失ったか
猫様は最後まで語らなかった
どこにでもいる野良猫の
野良猫の眼にも何もなかった

魂の残機がいくつかなんて
知ってる訳がないだろう
たったひとりの人生が
幾ら芥でも屑でも在ると
酷な事実を突き付けるのは
僕自身に他ならないのだ

猫様は嘆く死ねば死ぬほど
解ってしまう見破ってしまう
生きれば生きるほど
誰かの気持ちを見逃せなくなる

たまにはチート、違反に逃げて
魂の残機を増やしたがった
割と簡単に減っていくソレは
果たして何と呼ぶべきものか

「もう諦めた私と共に
気儘に生きてそして死ね」

猫様は一言呟いて
すやすや深い眠りに落ちた

どんなに口伝えられた話でも
どんなに語った話であっても
信じなければ響かなければ
ないものと同じなのだと

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