汽車ノ噺

著:三船 鳩  蝉が鳴いている。  じぃ、じぃ、じぃいぃ……と途切れることなく響く、どこか切ない鳴き声。夕真ゆまは眉根にきゅっとシワを寄せて、その古めかしい建物を見上げていた。  じぃ、じぃ。  建物は小さい。とても人が住めるようには見えないし、前に色々なものがごちゃごちゃと置かれている。いつも一緒に来ていたおばあちゃんは、この小さな建物を『おやしろ』と呼んでいた。  『おやし...

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